メニュー 閉じる

体験記 K・I様 60代 男性 その4

 3時間程過ぎて目が覚めた時は、医師から「大丈夫ですよ。早期でしたから転移の可能性はほぼありません」との言葉を聞き、家族の安心した顔を見ながら病室へ入りました。
 術後の3日間はさすがに寝返りも辛いのですが、4日目位からは全然痛みも無く「なあ~んだ、こんなもんか」と一人で強がりを言っている自分がいました。
 しかし今から思えば、健康診断のありがたさが良くわかりました。
 手術前の時々絶望感を覚えたりした事は何だったんだろうと思っている今日この頃です。
 通常通り仕事に復帰し、先日も健康診断※⑦を受けました。手術で胃を3分の2切ったせいか体重※⑧が10kg下がり今は快適で、血圧、血糖値も下がり正常になりました。 

 自営業や個人で仕事をしている人は、忙しい、時間が無い※⑨など言い訳ばかりで健康診断を受けず、病気が発症し重病になったり、命を失ったりしている人が多くいると思われます。
 また、昨今個人情報の関係で、会社の健康診断(料金が会社負担)でありながら、結果表の提出を拒む人もいるとの事ですが、定期的な健診またその結果に素直になる事によって、より健康的に生活していけるのではないかと思います。
 ありがとうございました!!


※⑦:紹介先病院からの返信がいただけると、治療を受けられたことはわかりますが、実際に治療後初めて健康診断・人間ドックを受けに来ていただき、元気な姿を拝見できると非常に嬉しく思います。

※⑧:K・I様の場合、昨年の健診時はBMI(Body Mass Index;体格指数)が基準を超えていましたが、約10kgの減量により正常範囲内となり、内臓脂肪の減少に伴い血圧及び血糖値が正常化したと考えられます。
胃の病気を克服した上に、血圧、血糖値の改善をももたらした事は本当に素晴らしいと思います。

※⑨:健康診断・人間ドック及びその再検査・精密検査は、時間がかかる上に苦痛を伴うものもあり、非常に面倒に感じられるかもしれません。
しかし、万が一その1年に1回の数時間を省いた事によって、病気の発見が遅れて命を縮めてしまったとしたら、省いた時間の何倍もの時間を失う可能性もあると考えられます。
定期的な健診・人間ドックを病気の予防、早期発見、早期治療に活用していただければ幸いです。

体験記 K・I様 60代 男性 その3

 こうなれば、模範となる患者になってやるとの心境で受診予定の病院へ連絡※④し、一路帰宅の途につきました。
 家に着いてもなかなか病名※⑤は言えなかったのですが、隠す事もできないので「今日、ガンと言われたよ」と一方的に話したところ別に取り乱しもせず、とにかく早く※⑥病院へと言うことで心配した程ではありませんでした。
 さあそれから手術迄の期間の考える事は、故郷の友や、人間の命のはかなさ、これまでの人生の大切さ、色々な事が、よく言われる走馬燈のように駆け巡りました。

 6~7回の通院の後、いよいよ2月22日に手術です。
普段、特に会話もない長女と長男も来ています。
もしかしたら俺は・・・・・・・と思うと切ない感じで家族の顔が見られません。
それも束の間、いつの間にか眠り込んでしまいました。


※④:病院によっては、曜日ごとに担当科や担当医が異なっていたり、初診でも予約が必要となったりする場合がありますので、お電話で確認されてからの受診をお勧めいたします。
 紹介状については、かかりつけの病院や過去に受診したことのある病院など、決まっている場合は、その病院宛ての紹介状をお書きします。
 しかし、決まった病院が無く、突然の告知に戸惑う方も多くおられますので、決められない場合は病院を指定せず紹介状をお書きします。無理にその場で受診先を決定する必要性はありませんので、帰宅されてから受診する病院を検討していただきたいと思います。

※⑤:昔は医師と家族で話し合い、どのように患者さんにお話しするか、またはしないか検討したものですが、今後は御本人が家族にどう打ち明けるか悩まれるという逆のケースが多くなると思われます。

※⑥:数日や数週間の単位では病気が進行する可能性は低いですが、治療ができるような総合病院や大学病院などでは、治療及び治療前の術前検査の予約が混み合っている場合があります。
 また、治療の為の長期的なお休みを取るとなると、お仕事との兼ね合いもあると思われますので、初回は早めに受診していただき、余裕を持って治療計画をたてていただくことをお勧めいたします。

体験記 K・I様 60代 男性 その2

 担当の医師との面談になった時、大変申し訳ないような仕草がみえたので、こちらの方から「先生、ガンですか?」と聞いたところ「残念ながらその通りです」との答え。
ついに恐れていた病魔にとりつかれたのです。
 その宣告※③から数秒は筆舌に尽くし難いものでしたが、医師から「治療はどちらでお受けになられますか?」「自分の所属している大学病院でもよいですし、希望の病院があれば紹介状をお書きします」と言われました。とにかく早い方が良いとの事で、激励を含んだ言葉で指導され力強く感じてセンターを後にしました。


※③:悪性疾患の告知については非常に難しく、また意見の分かれるところであると思われます。
以前の日本では家族のみに告知し、例えば胃癌であれば本人には胃潰瘍と説明し、癌であることを知らされずに亡くなられる方も多くおられました。
 しかしながら現代においては、治療の進化や、予後、余命が明らかになってからの時間、人生をできる限り有意義に使おうという考え方、個人情報の問題などの影響により、本人に告知しないことは稀なケースとなってきました。
 とは言っても告知するという行為は、される側が辛いのはもちろんの事、する側も非常に辛く難しいことなのです。
 特に当八王子健康管理センターは、人間ドックと健康診断が中心で、一人の患者様にお会いするのは、ほとんどが1年に1回。その方がどのような方なのか、過去の健診結果ではわからない、生活の背景や性格などについては全く情報がありません。もし、心配性な方だったら悲観してしまわないだろうか、仕事が忙しいからと治療を先延ばしにされないだろうか、医学的根拠の無い民間療法等で治そうとされないだろうか、と不安は尽きません。しかし、一番大事な事は、癌であるという現実を受け入れて治療に専念して頂き、次回の健診・人間ドックを元気に受けて頂くという事であると考え、事実を包み隠さずお伝えするように心がけています。
 癌という事実は非常にショックなことであり、到底すぐには受け入れ難いですが、もし健診・人間ドックを受けずに過ごし、数年後に体調不良で病院を受診して初めて癌が見つかったと仮定するならば、今より遥かに進行した状態の可能性が高かったでしょう。そう考えれば「不幸中の幸い」と前向きに考えられるのではないでしょうか。